動物にまつわるシンクロニシティ
地震の発生や落雷など、将来確実に起こる現象の前兆が人間に対して示される場合、これをシンクロニシティと呼ぶこともできます。
また、個人にとって重要な意味のある出来事が起きたときにタイミングよく姿を現す動物たちが、象徴的な意味を持つことも多いです。
もっとも多くシンクロニシティに関連づけれらる動物が鳥で、次いで魚です。また、サルや犬に関するシンクロニシティの話も多いです。
実例1.スカラベの夢
1920年代の半ばごろ、ユングはひとりの若い女性の心理治療にあたっていました。
この女性患者が人生に対してきわめて合理主義的な態度をくずさないせいで、あらゆるかたちの治療が、ひどく困難になっていました。
あるとき彼女は、黄金のスカラベ(コガネムシ)がでてくる夢のことを、ユングに語って聞かせました。
ユングは、その種の甲虫が、エジプト神話では再生の象徴として大きな意味をもっていることを、知っていました。
女性がその話をつづけているとき、ユングは、背後の窓を何かがコツコツと叩くような音を耳にしました。
カーテンをあけ、窓をひらくと、とびこんできたのは緑がかった金色の甲虫、学名をケトニア・アウレアテというハナムグリでした。
ユングは、虫を捕まえて患者に渡し、こういいました。
「これがあなたの夢に出てきたスカラベですよ」
このときから、彼女の過剰な合理主義の砦はやぶられ、治療のセッションはずっと実りの多いものとなりました。
実例2.ナスカのサル
マリア・ライヒがナスカの地上絵の研究をはじめたのは、1930年代の初めです。
一目見た瞬間に地上絵の虜になったライヒは、生涯の大半をその研究にささげました。
彼女がまず最初に手がけたのは、ナスカ平原に描かれた渦巻き模様の調査でした。
後になって、この渦巻き模様がさらに大きいサルの姿の尻尾の部分であることを知ります。
何ヵ月もかけて調査を続けた結果、やっと全体像が明らかになりました。
そして最後に残った右手の部分を終えたとき、指が一本足りないことに気づきました。
左手にはしっかりと五本の指があるのだが、右手には親指がないのです。
彼女は笑いがとまりませんでした。
自分がここまで地上絵に魅了される理由がわかったからです。
ライヒは、生まれながら右手の親指が欠損していたのです。
自分とナスカの地上絵の結びつきが明らかになったのです。