物にまつわるシンクロニシティ
ある人がある物品を必死になって探しているのに、なかなか見つからない場合があります。
見つからないとなると、ますます手に入れたいと思い、その願望は強追観念のように膨れ上がります。
しかし見つかりません。
やがて、諦めとともにその物品に対する執着を捨てたとき、シンクロニシティが起こるのです。
願望が叶えられるための条件は、それが顕在意識から潜在意識へと移ったときに揃うのかもしれません。
実例1.失くした結婚指輪
1972年の夏、フェイス・ピーターソン夫人は、夫のケビンとともにニューヨーク州アディロンダックの湖畔で、新婚中のバカンスを楽しんでいました。
ところが彼女は、ボートに乗っているときに、大切な結婚指輪を湖に落としてしまったのです。
ケビンはその日ずっと湖に潜って指輪を捜し続けたが、ついに見つからず、諦めるしかありませんでした。
1992年、フェイスとケビンは10代になった子供たちを連れて、思い出のアディロンダックに家族旅行に行くことになりました。
アディロンダックに到着すると、ケビンは子供たちを連れて湖に出かけ、2キロ以上はありそうな魚を釣り上げました。
フェイスは調理するために、その魚の腹にナイフを入れ、内臓を取りだしました。
すると驚いたことに、魚の腹から内臓といっしょに出てきたのは、20年前に彼女が失くした結婚指輪だったのです。
実例2.盗まれた原稿
出版者の編集者であるボブ・ディーマンは、小説家志望の知人から預かった原稿を盗まれてしまいました。
家に帰る途中で立ち寄ったレストランの駐車場で、車上荒らしに遭い、原稿を入れた箱ごと盗まれてしまったのです。
困ったことになった!
原稿はこの世にたった一部しかない大切なものだ。
「盗まれました」ですむ話ではない。
家に帰ってからもディーマンはどうしていいかわからず、あれこれ考えていました。
とりあえず彼に電話しなければいけないことはわかっていたが、なかなか気が進みません。 ちょうどそのとき、電話が鳴りました。
受話器を取ったディーマンの耳に、例の原稿を送ってきた知人の声が響きました。 その声はあきらかに怒っていました。
ディーマンは不思議に思いました。
原稿が盗まれたことは、まだだれにも話していないからです。
なぜわかったんだろう?
その知人はこう言いました。
「原稿がダメならダメで、返し方というものがあるだろう? 家の裏庭に投げ込んでいくなんて、ひどいじゃないか!」
原稿を盗み出した犯人は、逃げる途中で箱を捨てたのだが、なんとその場所が、偶然書き手の家の裏庭だったのです。
それから数ヵ月後、その小説は無事出版されました。